G4のjazzblog

ジャズに人生の半分を捧げた、ノーフレンドオッさん

サックスが壊れる〜!!

 

 

ティーブ・グロスマンの「Born At The Same Time」はテナーでも最高峰の一つだ。そう言い切れる。

 

よく漫画「Blue Giant」の宮本大のテナーは実際どんな感じだろう、と考える事がある。

 

ロリンズ?コルトレーン?はたまたグリフィン?誰が合うかな〜と考えるのファンの楽しみであり、特権でもある。

 

僕はグロスマンを大いに推す。「キレとスピードのあるプレー」「壊れそうなテナーの咆哮」「どこまでも上がるキー」こんなところが、大の特徴と一致している。

 

グロスマンはマイルス・デイビスエルビン・ジョーンズの諸作で頭角を現した人だ。

 

特にエルビンの「Live At The Lighthouse」でのプレーは圧巻の一言。兄弟のようなデイビッド・リーブマンとのブリブリっとした掛け合いはコロナ禍の鬱憤を吹き飛ばさんばかりにトリップさせてくれる。

 

また、アルバム内で流れる、エルビンの誕生日を祝うハッピーバースデーを僕自身の誕生日のバックで使って嫁さんと息子をドン引きさせたりと、ネタには事欠かないアルバムである。

 

脱線したので話を戻そう。グロスマンの前期のプレーはコルトレーンの様なメカニカルな激情とクールさを併せ持っており、コルトレーン好きには堪らない。

 

だがグロスマンは僕達の期待を大きく裏切る。コルトレーンライクと言ってもそれはプレー面の話。

 

残念な事にリーダー作は勿論の事、マイルスの諸作含め、やってる音楽は「ファンク」が大半なのだ。「アホー!!そうじゃないだろー!!」と思いっきり罵りたい。

 

そんなグロスマンの前期唯一の純シリアスジャズがこれなのだ。

 

聴いてもらいたいのは名曲「A Chamada」。9分もの長尺だが、ピアノソロもベースソロもない。グロスマンが1人只々吠えまくっている。

 

聴き流すなんて事は出来ない。目を閉じれば宮本大のプレーが見えるようである。

 

こんな凄いグロスマンも80年代後半以降になれば凡百のプレーヤーに成り下がる。この手のハード系プレーは維持し続けるのは本当に難しい。