ボヘミアの夜は更けていく・・
只今夜の11時。寝落ちしてるのを嫁さんに起こされ、風呂上りのまったりタイム。夜中までは間もなくというところ。
僕の住む街は県庁所在地の駅から一駅のところ。だが駅前にも関わらず、静かだ。飲み屋もない。つまりは田舎である。100m先の踏切の音が微かに窓辺から聞こえてくるだけである。
ここは退屈な街だ。東京が恋しい。
20代の頃は練馬の安アパートに住み、日銭を稼ぐ為に池袋のパチンコ屋や漫喫で働いていた。
稼いだお金は、池袋北口やパチンコで溶かしたり、ジャズを買い漁ったりで手元に残らずに家賃を滞納。アパートを追い出されそうになった事もある。
側からみれば、カッコ悪い20代を過ごした東京時代だが嫌な思い出は少ない。「ぼっち」だったけど、アングラで退廃的な雰囲気を持つ東京の街は何故か僕に合っていたのだ。
さてこの頃はジャズ収集を始めて3年程度、CDはまだ100枚ちょっとだったと思う。
数が少ないと聴くものは自然に限られてくる。東京でも静かな夜はあったけど、そんな時はケニー・ドーハムの「Round About Midnight At The Cafe Bohemia」をよく聴いていた。
ドーハムは「Quiet Kenny」が有名だが、個人的にはこちらに軍配が挙がる。このアルバムはジャズのエッセンスがギュッと閉じ込められている。
「Round Midnight」や「Autumn In New York」といった有名スタンダードから、本人作曲の「Monaco」や「Tempus Fugit」の改変「Mexico City」等楽曲のバランスが絶妙である。
飽きのこない変則セクステット構成と、ハードバップど真ん中1956年のいぶし銀ドーハムの哀愁がピタリとハマっており、小音量で流しても聴けてしまうのだ。
だが残念な事に良いジャズを聴いてるとアンプのボリュームが自然に上がってしまう。深夜0時、ご近所から通報されて警察からお叱りを受けたのは言うまでもない。